一盃口とは?鳴きNGだがイーペーコーのみのロンはOK!七対子・対々和とは複合しない麻雀1翻役
一盃口(イーペーコー)とは
一盃口(読み方:イーペーコー)とは麻雀の役の一つで、同じ種類で同じ並びの順子(シュンツ)を2組揃えることで成立する1翻役です。一盃口は他のプレイヤーから牌をもらうと成立しない門前(メンゼン)役なので、ポンやチー、明カンをしていると成立しません。
のように同じデザインの牌で、数が3つ連続した牌の組み合わせが2組ある状態
一盃口に関する基本情報一覧
- 一盃口の翻数:1翻
- 一盃口の出現確率:4.6%
- 食い下がり:門前役なので鳴き不可
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一盃口の条件
一盃口が成立する条件
一盃口が成立する条件は次のとおりです。
- 門前状態であること
- 同じ種類・並びの順子を2つ揃えること
一盃口が成立しないとき
一盃口は門前(メンゼン)役なので、ポン・明カン・チーをすると不成立になります。
順子を揃えるときにチーしたくなってしまいますが、一盃口が成立しないうえに役なしになってしまうケースもあるので初心者の方は注意が必要です。
一盃口が絡んでいない他の面子を揃えるための鳴きだったとしても、鳴いた時点で一盃口が成立しなくなってしまうので注意しましょう。
一盃口を狙うメリット・デメリット
一盃口を狙うメリット
一盃口を狙う代表的なメリットには、次の4つが挙げられます。
- 複合する役が多い
- 形が覚えやすい・美しい
- ドラを絡めやすい
- 他の役にも発展しやすい形なので、状況変化に強く手替えをしやすい
一盃口を狙うデメリット
狙いやすい一盃口には、形が良いゆえのデメリットもあります。
- 成立過程で形が複雑になりやすい
- 待ちが複雑・厳しくなりやすい
- 門前役なので鳴くことが出来ずスピード感に欠ける
- 1翻役の中では成立難易度が高くコスパが悪いと感じる
一盃口を狙う際の注意点【状況別】
一盃口を聴牌した際に、待ちの形に注意が必要です。手牌の状況別に、注意点を解説します。
カンチャン待ちの場合の注意点
手牌が萬子の34535で4萬を待っているときなどに見られる順子の真ん中が欠けている状態を「カンチャン待ち」と言います。
この状態で上がれば2符ボーナスが付きますが、リャンメン待ちと比較してアガリづらいため好まれる形ではありません。
相手の読みを外させるときなど、使える場面もありますが一盃口に気を取られて他の良い形やアガリのチャンスを逃してしまわないように気を付けましょう。喰いタンや鳴き三色など、鳴きOKの役が狙えるのであれば鳴いてしまうのも一つの手です。
両面待ちの場合の注意点
手牌が萬子の34545で3萬・6萬の両面待ちになっているとき、3萬でアガれれば一盃口になりますが、6萬でアガった場合は一盃口が付きません。このように待ちが複数ある聴牌(テンパイ)において、役が多く乗って点数が高くなる待ちのことを「高目(たかめ)」、逆に点数が低くなる待ちを「安目(やすめ)」と言います。この例では3萬が高目で6萬が安目になります。
立直しているときに、アガりを見逃すと振聴になりツモ和了しかできなくなります。このため高目をアガりたいからといって、安目のアガリ牌を見逃すとフリテンでロン和了できないので注意しましょう。初心者の方はこれに気付かずフリテン状態でロン宣言をしてチョンボになってしまうことがあります。
立直をしていなくても、アガリ牌を見逃すとその巡内ではロン和了できないというルール(同巡内振聴)もあるので、こちらも注意が必要です。
一盃口と牌効率
一盃口を狙う際は上記の形が多く出てきます。両面待ちの場合はそのまま狙えますが、カンチャン待ちの場合は牌効率を考えると両面待ちへ移行した方が良いでしょう。
カンチャンの一盃口よりは同じ1翻役でリャンメン待ちが条件となる平和に切り替えたり、タンヤオのように鳴いても成立する役を狙った方がアガりやすいです。
一盃口と複合する相性のいい役
平和(ピンフ)
平和は順子を4組揃え、両面待ち以上になることで成立する門前役です。お互いに門前役であり、順子を揃えるという成立過程も似ているため、一盃口と平和は非常に相性が良いと言えるでしょう。まず平和を狙い、チャンスがあれば一盃口も並行して狙っていくのがオススメです。
断么九(タンヤオ)
断么九は中張牌(2~8の数牌のこと)のみを使ってアガると成立する役です。断么九は比較的狙いやすく、数牌を使う役なので一盃口と相性がいいです。いざというときには一盃口を諦めて喰いタン(鳴いて作る断么九のこと)を狙えるためスピード和了も狙えます。
三色同順(サンショク)
三色同順は、萬子・筒子・索子のそれぞれで同じ数を使った順子を揃えると成立する役です。残り1面子は自由なため、高い点数を狙う際に筒子・萬子・筒子のいずれかで一盃口をあわせて狙う戦術が有効です。
一気通貫(イッツウ)
一気通貫は、萬子・筒子・索子のいずれかで123、456、789の順子を揃えると成立する役です。三色同順と同様に、残りの1面子と雀頭の組み合わせは問わないため、いずれかの順子に一盃口を絡めて狙うこともできます。そのため、狙える選択肢が多いこともあり一盃口は一気通貫と相性がいいと言えるでしょう。
清一色(チンイツ)
清一色は3種類の数牌のうちいずれか1種類のみを用いて手牌を完成させると成立する6翻役です。同じ種類の牌を集める性質上、同じ並びの順子が被る可能性が高いため運が良ければ一盃口もあわせて狙ってみましょう。7翻で跳満(親:18000点、子12000点)が確定する高火力コンボです。
二盃口と上位役
二盃口とは上記のように、同じ順子の組を2組作ると成立する役です。一盃口を2つ作ると成立する役、と捉えておくと覚えやすいです。ちなみに二盃口より上位の三盃口・四盃口という役がローカルルールで存在しています。
二盃口のように成立させると他の役(この場合だと一盃口)の成立条件も自動的に満たしている役のことを、(一盃口に対する)上位役といいます。二盃口が上位役とすれば、一盃口は下位役になります。他に上位と下位の関係性がある役は、混全帯么九と純全帯么九、清一色と混一色などがあります。
上位役と下位役は複合せず上位役の翻数が優先されます。一盃口と二盃口では二盃口が優先され3翻の役になります。二盃口が3翻、一盃口が1翻で二盃口の中には一盃口が2つ入っているから合計5翻・・・という計算は成り立たないので気を付けましょう。
一盃口に関するよくある質問
一盃口のみのロン和了は成立しますか?
一盃口と七対子は複合しますか?
複合しません。七対子の成立条件はその名の通り「対子が7組ある」ことなので、「同じ順子を2組揃える」という一盃口の成立条件とは異なるためです。分解すれば萬子の345の順子が2つできているように見えるので一盃口も付くように思えますが、この認識は間違いです。
一盃口と対々和は複合しますか?
複合しません。対々和は4面子がすべて刻子で構成されている役のため、こちらも「同じ順子を2組揃える」という一盃口の成立条件とは異なり両立できない組み合わせです。
一盃口と三暗刻は複合しますか?
複合しません。三暗刻はその名の通り暗刻を3つ集めると成立する役なので、同じ順子を2組揃えるという矛盾した条件である一盃口はつかないことになります。
一盃口は鳴いても成立しますか?
一盃口は門前(メンゼン)役なので、鳴きはNGです。ポンやチーなどの副露をすると成立しません。
一盃口の出現確率と翻数はどれくらいですか?
一盃口の出現確率は約4.6%で、1翻の役です。
一盃口とよく一緒に出てくる麻雀用語
中膨れ
このように順子の真ん中の牌が2枚重なっている状態を中膨れと言います。2筒や4筒を引けば一盃口が見えてきますし、1筒や5筒を引いても1つ面子が出来るなど発展しやすいため、嵌張などと比べて好まれる形です。
一盃口に関する小ネタ
一盃口の由来
一盃口はもともとは当て字なのですが、その由来や意味を解説します。一盃口は中国麻雀では一般高(イーパンカオ)と表記されていました。第二次大戦前に日本で行われていた麻雀では一般高は採用されていませんでしたが、第二次大戦後、現在のものと近いルールの麻雀(立直麻雀)が関西方面で確立されると一般高も採用されるようになってきました。
その後、関東に伝播するうちに発音が訛って「いっぺいこう」になり、それが「一杯、行こう」と言っているように聞こえたので、日本牌棋院の創立者である天野大三さんが盃と口を組み合わせ「一盃口」と当て字し、この表記が普及することになったと言われています。
一盃口とヨッシー
ヨッシーストーリーというNINTENDO64のゲームのエンディング曲において、ヨッシーたちが歌っている箇所が「イーペーコー」と言っているように聞こえることから、ニコニコ動画などではこの部分にコメントが集中したり、タグに一盃口が付けられたりすることがあります。
一盃口の覚えておきたいポイントまとめ
一盃口は同じ順子を2組揃えることで成立する門前1翻役。覚えやすく初心者の方でも狙いやすい役であるものの、待ちの形や状況が悪い場合には手替えや鳴きを選択するなど判断力が求められる役でもあります。
鳴いてはいけないという点から「安い」と思う方もいるかもしれませんが、平和やタンヤオなど麻雀の王道の役と複合させやすいため、高い手を狙うためのカギになることもあります。
一部形が似ている七対子とは複合しないため、それぞれに手替えすることも可能であり、上手く利用すれば早くアガれたりより高い点数が狙える場合も。この役を正しく使えれば、初心者を脱したと言えるでしょう。